断水でお困りの皆様へ
本ページは、断水中の方に向けて、断水解除までにやっておきたいことや、知っておきたいことを紹介しています。断水が発生すると蛇口から空気や汚れた水が出るおそれがあります。その空気や汚れた水から蛇口や水まわり機器を守るための大切な情報です。(最終更新 2023年1月27日)
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「(断水が解除されて)もう蛇口を開けちゃった」という方へ
このページでお伝えしている情報は「絶対にやってはいけない」というような禁止事項(タブー)ではありません。一般論として、断水から復旧する際、機器の故障のリスクがあり、それをできるだけ低くするための予防方法を保険的にお伝えするものです。過剰に不安を感じられることのないよう、落ち着いてお読みください。
断水になったら直(ただ)ちに、この3つをやっておく
- 水道の元栓を閉めておく
- トイレや給湯器(エコキュート)のバルブを閉めておく
- 洗濯機の蛇口を閉めておく
大切な水回り機器を傷めないために(やっておくことの理由の説明、読み飛ばし可)
断水中に水道管の中で起きること
普段、正常に水道が使えているとき、水道管の中は常に水で満たされ、圧力がかかっています。
断水し、蛇口を開いても水が出なくなったとき、水道管の中に水はなくなり、空気が入ります。途中で水道管が破損していたら、空気の他に土や泥、小さなゴミが入り込むこともあります。
また水で満たされ水圧がかかっていたときには固まっていた水道管の内面のサビが、水がなくなりカラになることで剥がれることもあります。
断水が解除され、再び水が水道管の中に入ると……
断水で空気、土や泥、ゴミやサビが入った水道管に、再び圧力のかかった水が入ってくるとどうなるか。水は、サビやゴミを巻き込み、空気を押し出しながら、水道管の中を進みます。
断水から復旧する際、家庭の水道管に水を送る前に、空になった水道管を水で満たし、さらに土や泥、サビやゴミを吐き出して水道管の内部を洗い流す作業を行います。前者を「充水(じゅうすい)」、後者を「洗管(せんかん)」と呼びます。
この充水と洗管を十分に行い、検査により安全が確認された後に、「使用(飲用)可能」という広報がなされることが一般的です。
しかし、特に災害などが原因で起きた断水の場合や地形などの影響によっては、充水や洗管による準備が十分にしきれないこともあります。
「ブホッ」という音とともに、蛇口から濁った水が出る
仮に、充水や洗管による準備が不十分なまま断水が解除されると、土やサビなどの異物を巻き込んだ水が空気を押し出しながら、各家庭の水道管にまでやってきます。
その場合に蛇口を開くと「シューッ」という音が聞こえてきた後、「ブホッ、ブハッ」と空気を出しながら水が出ます。そして何度もこの「ブホッ、ブハッ」という”空気抜け”を繰り返します。さらに出てくる水は赤色や茶色に濁っています。この濁りの元はサビなどの異物です。
濁りも空気も、水回りの機器を傷めかねません。
その機器損傷の危険(リスク)をできるだけ小さくするために、やっておきたいことと知っておきたいことがあるのです。
復旧後の水道水の白濁(白い濁り)について
「ブホッ、ブハッ」という空気の抜けや赤いサビ濁りは、充水や洗管が十分に行われていれば基本的には発生しません(裏を返せば、これらが発生しないために行うのが充水や洗管作業です)。
しかし、充水や洗管の十分さに拠らず、必ずと言っていいほど発生するのが水道水の白い濁りです。白い濁りの正体は気泡(圧縮された空気)です。想像以上に白いこともあり、不安を感じる方も少なくありません。
コップなどの容器に汲み置き、しばらくしたら透明になるようであれば、気泡による濁りと考えて間違いありません。「使用(飲用)可能」の広報がなされていれば、安心して通常どおりにご使用ください。
直ちにやっておくことの具体的な説明(ここから必読)
1)水道の元栓を閉めておく
水道メーターが設置されている箱(メーターボックス)の中にある家や建物全体の水を止める元栓(止水栓)を閉めておきます。
元栓を閉めておけば濁った水が家の水道管の中に入ることをできるだけ避けることができます。元栓の形状や仕様は市町村によって異なります。元栓の設置場所や閉め方(取扱方法)はお住まいの自治体の水道部局に問い合わせてください(ホームページに掲載されていることも多いです)。
2)トイレと給湯器のバルブ(止水栓)を閉めておく
もっとも高価な水回り機器を故障から守る
家の中にある水回り機器の中で、もっとも高価なものはトイレと給湯器(温水器)です。高価であると同時に精密にできているので、サビやゴミなどの小さな異物でも水が止まらなくなる、あるいは故障する原因になり得ます。
断水中にトイレやお湯を使うと、トイレのタンクや給湯器の内部が空になります。
その状態で水道が復旧すると、空気、土やサビなどの異物を含んだ水はそのままトイレや給湯器に入り、故障のリスクを高めます。故障したら修理や取替にかかる費用は、他の水回り機器に比べて高額です。
トイレと給湯器を故障から守りましょう。
バルブ(止水栓)が付いている場所の具体例
トイレと給湯器(温水器)には、止水栓(しすいせん)と呼ばれるバルブが付いています。水を止める栓です。蛇口のハンドルタイプ、マイナスドライバーを挿し入れる溝があるタイプ、T字ハンドルを90度回すタイプなど、形状には種類がありますが、どれも水を止める機能があります。
止水栓を閉め、水がトイレや給湯器に入らないようにします。これは水道復旧前にやっておかなければなりません。むしろ断水中に閉めておけば、忘れなくて安心です。
3)洗濯機の蛇口を閉めておく
洗濯機の蛇口を閉めておきます。
全自動洗濯機をお使いの多くの家では蛇口を開け放しにしてあると思います。洗濯機側のバルブで水は止まってはいますが、トイレや給湯器と同じく洗濯機を故障から守るために、洗濯機の蛇口も閉めておきましょう。
また洗濯機以外にも高価な機械や設備に水道が接続されているものがあれば、その蛇口やバルブ(止水栓)を閉めておきます。
知っておきたいこと(大規模断水を経験して)
2021年10月、和歌山県和歌山市で大規模な断水が発生し、約6万世帯が6日間に渡り水が使えない生活を送りました。その時の経験を踏まえ、水道の復旧に際して知っておきたいことを追記します(2021年10月追記)。
- 慌てて水を出し過ぎない
- まずは外の蛇口から
なお、充水や洗管の作業中は、もっとも濁り水が出る可能性が高くなります。
1)慌てて水を出し過ぎない(自治体の広報に従う)
解除(「使用可能のお知らせ」の広報)がされても慌てて水を出さず、断水地域全体に水が行き渡るまで「いましばらく待つ」ことをお勧めします。
長く、不便だった断水が終わり、ようやく水が出る。嬉しさのあまり水を出したくなりますよね。また蛇口から出た水が濁っていたら、キレイになるまで出し続けてたくなるかもしれません。
「水道の復旧のさせ方」にも依りますが、特に急ぐ場合は、十分な準備が整わない(配水管内が満水になっていない、洗管が完全に終わっていない)状態で水道の復旧を広報することも、過去の断水事故ではありました。
その場合、配水池と呼ばれる貯水タンクから近いところでは早く水が出て、タンクから遠いところや高台などでは、水が出るまで時間が掛かります。そして水が出た家庭で水道水の濁りをなくそうと水を出せば出すほど、まだ水が出ていない家庭の復旧は遅れ、また水道水の濁りもよりとれにくくなります。
- 自治体が広報する注意事項に必ずしたがってください
- みんなで約束を守ることで全体としてより確実でより早い復旧が期待できます
可能であれば、自主的に断水(水道不使用)期間を延長して、たとえば数時間から半日程度時間をおいてから、水道の元栓を開けて2)の手順に進んでください。
「断水解除」と「節水」を同時に広報された場合、多くの市民が戸惑うという現象が過去の大規模断水では起きています。断水の影響を受ける市民全員が先の見通しを立てられる丁寧な案内に力を尽くしてください。そのためには結果として復旧までの期間が延びることも選択肢のひとつとして慎重にご検討ください。
2)「早くトイレやシャワーを使いたいっ」そこをぐっとこらえて、まずは外の蛇口から
つくりが単純で安い蛇口から最初に水を出す
空気、土やサビなどの異物を吐き出し切って「キレイないつも通りの水」になるまで、各家庭でも洗管作業が必要です。
洗管作業を行うのに適した蛇口は、外にある散水栓や立水栓の蛇口です。
理由は2つ。
- つくりが単純で安いから
- 道路に埋まった配水管から一番近いから
つくりが単純なので異物が引っかかりにくく、また蛇口の価格が安いので、もし故障しても修理代は低額です。
道路に埋まっている配水(はいすい)管から分岐して敷地に引き込まれた水道管の経路上で、一番道路(配水管)に近いのが外の蛇口である場合が多いです。その蛇口で洗管すれば、それより先の水まわり機器に異物が入る前に吐き出すことができます。
水を出す順序。最初は外の蛇口、最後がトイレとお湯
と言うわけで、水道の元栓をゆっくりと開けつつ、次の順に蛇口や機器の止水栓を開いてください。
- (あれば)外の散水栓や立水栓の蛇口
- 洗面台の蛇口(水のみ)
- キッチンの蛇口(水のみ)
- 洗濯機用の蛇口
- トイレの止水栓
- 給湯器(温水器)の止水栓を開けて→お湯の蛇口
あれば外の蛇口、なければ洗面台で洗管します。蛇口は一気に開かず、ゆっくりと開けていくのがコツです。
トイレと給湯器は、閉めておいた止水栓を開いて使います。
復旧後の水道水の白濁(白い濁り)について(再掲)
「ブホッ、ブハッ」という空気の抜けや赤いサビ濁りは、充水や洗管が十分に行われていれば基本的には発生しません(裏を返せば、これらが発生しないために行うのが充水や洗管作業です)。
しかし、充水や洗管の十分さに拠らず、必ずと言っていいほど発生するのが水道水の白い濁りです。白い濁りの正体は気泡(圧縮された空気)です。想像以上に白いこともあり、不安を感じる方も少なくありません。
コップなどの容器に汲み置き、しばらくしたら透明になるようであれば、気泡による濁りと考えて間違いありません。「使用(飲用)可能」の広報がなされていれば、安心して通常どおりにご使用ください。
3)洗濯機用水栓は、一旦ホースを外して空気を吐き出す
洗濯機用水栓は、洗濯機へホースでつながっています。一旦ホースを外し、バケツや洗面器などで受けて水を出します。1の外の蛇口や2の洗面台で十分に洗管できていれば、少しだけ空気が出る程度で正常になると思います。
最近では緊急停止弁(蛇口が開いた状態でホースが抜けた時に水が止まる機構)が付いた洗濯機用水栓があります。その場合は、蛇口側ではなく、洗濯機側のホースを外して水を出します。
4)もし外に蛇口がなかったら……洗面台やキッチンで洗管する場合に、やって欲しいこと
マンションなど外の蛇口がない場合に最初に水を出すのは洗面台やキッチンです。
洗面台やキッチンの蛇口で水を出して洗管する場合に、水を出す前にやって欲しいこと。それは泡まつキャップ(フィルター)を外すことです。
洗面台やキッチンの蛇口(水栓)の吐水口(とすいこう、水の出口)には泡まつキャップやフィルターがついています。これは蛇口から出る水流を整えるためのものですが、断水解除後の一段と濁りがひどい状態の水を、この泡まつキャップに通すと目がつまってしまいます。
泡沫キャップを外してから、洗管をしてください。
蛇口(水栓)の泡まつキャップはどうやって外したらいいの?
蛇口(水栓)の泡まつキャップの外し方は、以下の方法で調べます。
取扱説明書を見る
蛇口(水栓)の取扱説明書に外し方が書かれています。
インターネットで調べる
取扱説明書はインターネットでも見られる場合があります。「品番 取扱説明書」で検索します。また「品番 泡まつキャップ 外し方」で検索すると、ストレーナーの外し方が説明されている場合もあります。
品番は蛇口の根元にシールで貼ってあるのが一般的です。
メーカーに問い合わせる
メーカーはわかるけど品番がわからない場合、メーカーに問い合わせて教えてもらうことができます。その際は「お客様相談窓口」へ電話してみましょう。
水道工事業者に相談する
水道工事業者さん、あるいは建築関連の仕事に従事したことがある人なら、見ただけでわかる場合があります。相談してみましょう。
各種蛇口の泡まつキャップの外し方(参考例)TOTO WEBサイトより引用
このページのまとめ資料
水道復旧、断水解除前に断水下の住民の皆様への周知にご利用ください。
こちらからPDFデータをダウンロードできます。
「この紙だけが郵便受けに入っていた」とご連絡をいただくことがあります。住民の方からご連絡をいただくこと自体は結構なのですが、チラシを受け取られた方が要領を得ないと無用な不安を生むことになりかねません。また追記したい情報がある場合にも原本は改編せず、併せて配布する資料中に記載してください。以上を必ず守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。