吸わせきるトイレでは
と言い切っています。
なぜそう言えるのか。その理由は、
です。
この記事では「災害時には、し尿をごみとして託せる」ことは国の方針である、と言える根拠を、各種指針中の関連部分から引用し、提示します。
正しいことを示せばいい3つのこと
国は、吸わせきるトイレの活用を前提とする防災計画をつくりました。
吸わせきるトイレは、その概念の成立において、運搬と、焼却または埋め立て処分を含む「ごみとしてのし尿処理」を前提にしています。
ゆえに、吸わせきるトイレの活用を前提とする防災計画には「ごみとしてのし尿処理」が含まれることが必然であり、実際にそれを含んでいます。
合わせて国は、その方針に沿った計画の策定を、地方公共団体に求めています。
まとめると、
- 国の方針と計画は、吸わせきるトイレの活用を前提とする
- その方針と計画には「ごみとしてのし尿処理」が含まれる
- 市町村は、国の方針に基づく「ごみとしてのし尿処理」の計画を求められている
と、なります。
「災害時には、し尿をごみとして託せる」ことは国の方針である、と証明するには、この3つが正しいことを示せばいい。
以下、この3つが正しいことを示す根拠を提示します。
1.国の方針と計画は、吸わせきるトイレの活用を前提とする
防災計画に関わる各種指針は、吸わせきるトイレの活用を前提としています。
防災基本計画(中央防災会議 令和元年5月)
国や地方公共団体は「最低3日間、できれば1週間分の携帯トイレや簡易トイレを備えましょう」と国民の皆さんに広く伝えます。
第2編 各災害に共通する対策編 第1章 災害予防 第3節 国民の防災活動の促進 2 防災知識の普及,訓練 (1) 防災知識の普及
○国〔内閣府等〕,公共機関,地方公共団体等は,防災週間や防災関連行事等を通じ,住民に対し,災害時のシミュレーション結果等を示しながらその危険性を周知するとともに,以下の事項について普及啓発を図るものとする。
・「最低3日間,推奨1週間」分の食料,飲料水,携帯トイレ・簡易トイレ,トイレットペーパー等の備蓄,非常持出品(救急箱,懐中電灯,ラジオ,乾電池等)の準備,負傷の防止や避難路の確保の観点からの家具・ブロック塀等の転倒防止対策,飼い主による家庭動物との同行避難や指定避難所での飼養についての準備,保険・共済等の生活再建に向けた事前の備え等の家庭での予防・安全対策
避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(平成28年4月 内閣府)
災害時のトイレを確保するためには、携帯トイレ等の備蓄が求められます。
Ⅱ.トイレの確保・管理に関する基本的な考え方 1 災害用トイレの確保にあたって (4)計画づくり
災害時のトイレを確保するためには、平時に災害時に起こりうる事態を具体的に想定し、必要なトイレの数を試算し、携帯トイレ等の備蓄、マンホールトイレ等の整備の推進や、災害時にトイレを調達するための手段の確立等、計画的に実施することが求められる。
マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン(平成30年3月 国土交通省)
災害時のトイレは、初動対応として、携帯トイレや簡易トイレを用います。
第2章 災害時におけるトイレの確保に関する問題と対策の考え方 2.災害時のトイレの確保の基本的考え方 (2)災害用トイレの特徴と役割分担
例えば、初動対応として、携帯トイレ・簡易トイレを用いた後、マンホールトイレを迅速に設置し、さらにその後、調達した仮設トイレ等を設置することにより、避難所等におけるトイレの充足度を確保することが考えられる。
大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月 環境省)
初動時のし尿処理として、市町村は、携帯トイレや簡易トイレを用意しておきましょう。
第4編 大規模災害時の国のリーダーシップと発災後処理指針の策定 第2章 発災後の処理指針に盛り込む事項 ⑤ 災害時におけるし尿、生活ごみの収集、処理体制の整備
○ 生活環境の保全と公衆衛生の確保を図る観点から、発災後、初動時のし尿処理に関して、被災者の生活に支障が生じないよう、市町村は、携帯トイレ・簡易トイレの用意、仮設トイレ・マンホールトイレ(災害時に下水道管路にあるマンホールの上に設置するトイレ)の設置等、トイレの確保を行うとともに、トイレットペーパーや簡易水洗のための洗浄水、手洗い水、手指消毒剤、消臭剤、脱臭剤等を確保する。
2.その方針と計画には「ごみとしてのし尿処理」が含まれる
吸わせきるトイレの活用を前提とする防災計画に関わる各種指針は、「ごみとしてのし尿処理」を含んでいます。
避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(平成28年4月 内閣府)
ごみ処理の担当者は、使用済み携帯トイレの定期的な回収、を手配します。
Ⅲ.トイレの確保のための具体的な取り組み 2 災害時のトイレの必要数計算シートの使い方 (3)トイレの種類ごとに必要数の見積もり (3)-1 携帯トイレ・簡易トイレを使用する場合
※注意事項
また、ゴミ処理担当は、使用済み携帯トイレは、長期間避難所に留めることがないよう、定期的な回収を手配すること。
大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月 環境省)
携帯トイレは可燃ごみとなります。
第4編 大規模災害時の国のリーダーシップと発災後処理指針の策定 第2章 発災後の処理指針に盛り込む事項 ⑤ 災害時におけるし尿、生活ごみの収集、処理体制の整備
○ また、仮設トイレのし尿の収集・運搬の方法、処理先、ルートを決定し、必要な台数の車両・オペレータを確保する。なお、携帯トイレについては可燃ごみとなるが、他の可燃ごみと分別して保管し、衛生対策を行うこと。
3.市町村は、国の方針に基づく「ごみとしてのし尿処理」の計画を求められている
国は、その方針に沿った計画の策定を、地方公共団体に求めています。
防災基本計画(中央防災会議 令和元年5月)
国は、基本的な方針を防災基本計画に示しました。地方公共団体は、これに基づいて地域防災計画を作成します。
防災基本計画は、(中略)中央防災会議が作成する、政府の防災対策に関する基本的な計画です。
防災基本計画は、(中略)地域防災計画において重点をおくべき事項について、基本的な方針を示しています。
この計画に基づき、(中略)地方公共団体は地域防災計画を作成しています。
市町村は、し尿を含む災害時のごみ処理の方法について、災害廃棄物処理計画で具体的に示します。
第6節 迅速かつ円滑な災害応急対策,災害復旧・復興への備え 11 災害復旧・復興への備え (1) 災害廃棄物の発生への対応
○市町村は,災害廃棄物の処理に係る指針に基づき,円滑かつ迅速に災害廃棄物を処理できるよう,災害廃棄物の仮置場の確保や運用方針,一般廃棄物(指定避難所のごみや仮設トイレのし尿等)の処理を含めた災害時の廃棄物の処理体制,周辺の地方公共団体との連携・協力のあり方等について,災害廃棄物処理計画において具体的に示すものとする。
避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン(平成28年4月 内閣府)
トイレの備えは市町村で取り組まれるべきです。このガイドラインに沿って、適切な仕組みを整えて欲しい。
避難所におけるトイレの確保・管理ガイドラインとは
トイレの課題は市町村(特別区を含む、以下同じ。)における関係部局の連携により、事前の取り組みが進められるべきである。本ガイドラインは、避難生活を支援する行政が取り組むべき事項のうち、トイレの確保と管理に関して指針を示すものである。本ガイドラインに沿って、適切な仕組みを整えることが求められる。また、市町村においては、本ガイドラインを参考に災害時のトイレの確保・管理計画を作成し、その計画を実効性のあるものとするため、地域防災計画等に反映させることが求められる。
大規模災害発生時における災害廃棄物対策行動指針(平成27年11月 環境省)
この行動指針は、災害廃棄物処理に関わる関係者が担うべき役割や責務を明確にしています。
第2章 行動指針策定の目的
③ これらの対策を的確に行うためには、「災害廃棄物対策指針」の中で新たに、大規模災害に向けた、国、地域ブロック、都道府県及び市町村における事前の備えについて、基本的な考え方を整理する必要がある。本行動指針は、改正法及び対策スキームの考え方に基づき、大規模災害時において、災害廃棄物処理に関わる関係者が担うべき役割や責務を明確化し、関係者による連携・協力体制を構築し、もって“オールジャパンでの対応”の実現を目的として策定する。