岐阜県美濃加茂市で市職員向けにトイレの備え、ペットの備えの研修を行いました。その報告です。
目次
3月のセミナー、4月のアピタでの携帯トイレトレーニングを経て、ついに実現!
美濃加茂市に関わりはじめて半年。ついに実現したのが今回の研修です。
3月のトイレ減災セミナー in 美濃加茂、4月のトイレとワンコのそなえ体験 in アピタ美濃加茂に伊藤誠一市長が参加されました。必要性を感じられた市長は「まずは職員への研修をお願いしたい」と依頼してくれました。
「実践的なことを覚えて欲しい!皆から始めよう」
研修は伊藤市長の挨拶で始まりました。
参加者は52名。全職員数からすれば決して多いとは言えない人数です。「これが本市の防災意識の現状です」と正直に認めた上で、職員に向けて市長の想いが語られました。
アピタで私が教わったとき、一緒にいた市民の方が、興味をもって自分事として一所懸命教わっている姿が印象的でした。市民は学んでいる。みんなも自分の事として「実践的なこと」を覚えて欲しい。今日は第1回目。みんなが第1号として地元や他の職員にひろげて行こう。
2週間前に2日間の断水を経験し、意識高まる
奇しくも研修の約2週間前である6月29日、30日の2日間、美濃加茂市は断水を経験していました。市内の約半数の世帯で水が出なくなり、応急給水など職員の多くがその対応にあたりました。またその1週間後の西日本豪雨では岐阜県関市をはじめ近隣の市町村が大きな被害を受けました。
断水でトイレが困った?全員が「はい」の回答
研修の中で参加者へアンケートを採りました。「断水でトイレが困った(と聞いている)」かどうか。参加者全員が「はい」の回答でした。
自身も自宅が断水した職員も多く、トイレに困ったなどの不自由を強いられ「断水だけでこれだけ困るのに、もっと大きな災害が起きたら……」と、いつも以上に危機意識が高まった状態での研修になりました。
災害時のトイレ問題。解決の方法は選択肢を増やすこと
大きな災害時に繰り返されるトイレ問題。命に関わる重大事です。解決方法の一つが「排泄の選択肢」を増やすこと。携帯トイレという水を使わない排泄方法を選択肢に加えること、を提案し続けています。
今回の研修でも、
- 仮設トイレに期待する
- 外で土を掘って用を足す
- バケツの水で流す
- ガマンしてトイレに行くのを控える
など被災現場で採られがちな選択肢について、それぞれデメリット(欠点)を提示し、
「携帯トイレという方法もありますよ」
と提案しました。
代表者が「体験」。実践的に学ぶ
今回は代表の6名に携帯トイレトレーニングを体験してもらいました。
百聞は一見に如かず、一見は体験に遠く及ばず。「見る」のと「やる」のは大違いです。本物の便器に手と身体を動かして袋を被せ、実際に座って袋への排泄をイメージし、片付けるところまで体験します。
市長に指名され最初は遠慮気味だった体験者も「実際に体験できてよかった」とトレーニングの価値を感想で語ってくれました。
体験用の携帯トイレを配布。「実践」を市長が再度後押し
参加者全員に携帯トイレを配布しました。自宅で実際に使用してもらうことが目的です。研修終了後に再度市長から参加者へメッセージがありました。
みんな!帰ったら今日学んだことを、大切な人や家族に必ず伝えよう。そして携帯トイレを実際に使ってみよう。必ずやろう。
伊藤市長の本気度が伝わりました。
研修概要
3月、4月同様、犬育応援プロジェクト ワンコミの田原佐織さんと一緒に研修の講師を務めました。それぞれに講演+体験という流れで研修でき、参加者の満足度を高めることができました。
- 日時:2018年7月17日(火) 18時~20時
- 場所:美濃加茂市生涯学習センター 美濃加茂市太田町3425-1
- 参加者:52名(携帯トイレトレーニング体験者6名)
- トレーナー:1名
- 使用便器:6個(トレーナー用便器は映像で代替)
- 主催者:美濃加茂市
- 補足:ペットの備えは、田原佐織氏(犬育応援プロジェクト ワンコミ)が講師
ペットの備え
研修後のアンケート結果(有効回答数46)
「満足」と「概ね満足」を足した結果が95.6%で、高い満足度でした。また「断水を経験して必要性を感じた」と回答した参加者のうち47.8%が「満足」と回答しており、必要性を感じた状態が研修の効果を高めることがわかりました。
参加することを決めたきっかけや理由
- 以前から「知りたい」と思っていた内容だった 23.9%
- 案内を見て興味を持った 47.8%
- 断水を経験して必要性を感じた 50.0%
- 勧められた、誘われてた 8.7%
- その他 2.2%
満足度
- 満足 39.1%
- 概ね満足 56.5%
- やや不満 4.3%
- 不満 0.0%
得られたものを教えてください
- 携帯トイレをどのように使ったらよいかわかった。体験できてよかった
- 携帯トイレについてまったく知らなかった。知ることができてよかった
- トイレは残り湯で流せばよいと考えていた
- 災害時のトイレについて知っていれば簡単に準備できることがわかった
- 携帯トイレを普段使ったこともなく、使い方もわからなかったので、今回体験できてよかった
- 携帯トイレが身近になりました
- 下水処理のことまで考えが至っていなかった
断水時に、携帯トイレはあなたの選択肢に入りますか
- 以前から入っている 8.7%
- 入る 87.0%
- 入らない 2.2%(家の近くならどこでもできる)
- どちらとも言えない 2.2%(実際に使ってみないとわからない)