携帯トイレ(水を使わないトイレ)の使い方を説明します。
目次
- 1 携帯トイレ(水を使わないトイレ)とは
- 2 これだけ押さえよう!携帯トイレ(水を使わないトイレ)の使い方の3つのポイント
- 3 ”いつもトイレ”で使う(携帯トイレ ポイント1)
- 4 袋を二重にする(携帯トイレ ポイント2)
- 5 袋の被せ方のコツは”手前”(携帯トイレ ポイント3)
- 6 携帯トイレの使い方の手順1 下地袋を被せる
- 7 携帯トイレの使い方 手順2 便袋(本番の袋)を被せる
- 8 携帯トイレの使い方 手順3 凝固剤を入れる
- 9 携帯トイレの使い方 手順4 携帯トイレで用を足す
- 10 携帯トイレの使い方 手順5 携帯トイレを片付ける
- 11 大事な補足 携帯トイレの便袋、2種類の被せ方
- 12 動画を見ながら自宅のトイレでやってみよう!
- 13 いいね!みんなにも教えなきゃ!
- 14 携帯トイレの選び方、備え方
- 15 簡易トイレと携帯トイレの違い
携帯トイレ(水を使わないトイレ)とは
災害用トイレには様々な種類がありますが、袋と凝固剤がセットになったものを携帯トイレと呼んでいます。袋の中に用を足し、凝固剤で尿や便の水分を吸収し固形化するトイレです。
災害が発生した直後は断水などが原因で水洗トイレが使えません。その時に役に立つのは携帯トイレ(水を使わないトイレ)しかない、と言っても過言ではありません。
時間ある場合は、動画をご覧ください。「携帯トイレの使い方」(8分29秒)
これだけ押さえよう!携帯トイレ(水を使わないトイレ)の使い方の3つのポイント
いざという時、携帯トイレを焦らずに使えるよう、3つのポイントを押さえましょう。
- いつものトイレで使う
- 下地袋を被せる
- 袋は手前からかける
では、3つのポイントの解説です。
”いつもトイレ”で使う(携帯トイレ ポイント1)
ポイントの一つ目は「いつものトイレで使う」です。
私たちはいつも、自分の意思で用を足しているように思っていますが、実は”出す”という行為は意識ではコントロールできないそうです。「したい」のを我慢することはできても、したくない時に無理矢理出そうとしても出ない。これは誰もが一度は経験することです。普段でさえそうなのだから、災害時の緊張や、袋の中に用を足すという不安な気持ちがあると、ますます出にくくなります。
つまり災害時の排泄こそ、できるだけ日常に近い環境にすることが大切、というわけです。いつもの便器、そしていつものトイレ空間が重要です。
水洗トイレは水が出ないだけで、便器は残っています。在宅避難でも公設の避難所であっても、トイレ空間の安全が確認されていたら、そこで携帯トイレを使います。
携帯トイレはダンボール製のトイレよりも、いつものトイレで
ダンボールなどでできた「簡易トイレ」が災害用トイレだと思われることが多いです。簡易トイレも大切な災害用トイレの一つですが、これは「便器の代わり」です。ほとんどの簡易トイレはそれだけでは使用できず、携帯トイレとセットで使います。
いつものトイレが使えるならば、わざわざダンボールトイレを選ぶ理由はありません。
袋を二重にする(携帯トイレ ポイント2)
ポイントの二つ目は「袋を二重にする」です。
いよいよ便器に袋を被せます。「地震が発生して断水した。水洗トイレが使えない。しばらく携帯トイレを使わなければならない」となったとき、まず初めにやっておきたい準備です。
便鉢には水が溜まっている
便器の各部には名前があります。一番上が便フタ、お尻をおろすところが便座、そして陶器でできた本体を便鉢(べんばち)と呼びます。
便鉢の底には常に水が溜まっています。この水は下水道からの悪臭や害虫を防ぐ大事な役割を担っています。封をしているので「封水(ふうすい)」と呼びます。
そのまま便袋を被せると、袋の底が濡れる
携帯トイレはトイレ1回につき1枚の便袋を使います。このまま便袋を被せたら、用を足し終わって袋を引き上げるとき、袋の底が水で濡れてしまいます。
便袋は下地袋の上に被せる
それを防ぐための準備が「下地袋」です。1枚の袋を便器に被せておき、毎回の便袋はその下地袋の上から二重で便器に被せて使います。
水洗トイレが使えるようになるまで下地袋は付けたまま
下地袋は、水道が復旧して水洗トイレが使えるようになるまで付けたままにします。外れないように養生テープなどで便器に固定します。また家族の間で
- 下地袋の目的
- 下地袋は外さないこと
を共有しておくことも大切です。
袋の被せ方のコツは”手前”(携帯トイレ ポイント3)
ポイントの三つ目は「袋の被せ方のコツは”手前”」です。
つい奥から被せたくなるが、引っかかりがなく上手くいかない
「では袋を便器に被せてみてください」と言うと、ほとんどの人が奥からかけて手前に引こうとします。ところが便器の奥側には引っかけるところがないので上手く被せることができません。便器には手前に袋がかかりやす”アゴ”があります。そこにかかるように袋を被せます。
では3つのポイントを踏まえた携帯トイレの使い方の手順をご紹介します。この手順どおりやれば簡単です。
携帯トイレの使い方の手順1 下地袋を被せる
袋の被せ方のコツをご紹介します。まずは手順どおりやってみましょう。
※ポイントがつかめて慣れてきたあとは、手順を飛ばしても大丈夫です。
利き腕を入れる(袋をうまく被せるコツ 手順1/8)
袋に利き腕を通し、袋の底の角を内側から軽くつまみます。
反対の角を持つ(袋をうまく被せるコツ 手順2/8)
反対の底の角を、通してない手でつまみ、
通した方の手に持っていきます。
三角形をつくる(袋をうまく被せるコツ 手順3/8)
両底角を通した方の手でつまみ、三角形をつくります。
便器の正面に座る(袋をうまく被せるコツ 手順4/8)
つまんでいる手を便鉢の中に深く入れる(袋をうまく被せるコツ 手順5/8)
袋だけおいて手だけ抜く(袋をうまく被せるコツ 手順6/8)
袋だけおいて手だけ抜くと、
つくった三角形の腕が通ってなかった方の端が便鉢の前側に垂れます。
垂れた部分を下に引く(袋をうまく被せるコツ 手順7/8)あと少し
垂れている部分を両手でつかみ、
便鉢の下に向けて引きます(これでほぼ袋がかかります)。
便鉢のフチに沿って袋を伸ばす(袋をうまく被せるコツ 手順8/8)完了!
便鉢のリム(フチ)にそって、袋を伸ばします。
袋をテープで固定する(下地袋のみ)
袋と便器にまたがるように4箇所程度テープで固定します。テープは後からはがせる養生テープがお勧めです。
携帯トイレの使い方 手順2 便袋(本番の袋)を被せる
便袋を被せる
下地袋と同じ要領で便袋を被せます。
被せ終わったら、便鉢の中心(底)の部分を再度しっかりと押し込み尿や便が溜まりやすくします。
便座をおろす
便座をおろして完了です。
携帯トイレの使い方 手順3 凝固剤を入れる
凝固剤には種類があります。
- 用を足す前に入れる
- 用を足した後で入れる
- 袋のまま入れるもの
- 袋から中身を出して入れるもの
必ず使用する凝固剤の説明書をよく読んでから使います。
携帯トイレの使い方 手順4 携帯トイレで用を足す
便座に座り、用を足します。
特に初めて携帯トイレを使うときは、不安な気持ちになりやすいです。その感覚を事前に練習して味わっておくことが、いざというときに焦らず携帯トイレを使うためにとても重要です。
トイレットペーパーも便袋に入れる
用を足した後、使用したトイレットペーパーも便袋の中に入れます。
携帯トイレの使い方 手順5 携帯トイレを片付ける
袋を引き上げる
便袋の手前側を片手でつかみ、
便袋を便鉢から引き上げます。
空気を抜く
尿や便が溜まって固まった部分のすぐ上を片手でつかみ、
反対の手で袋の中の空気を押し出します。
口元をしばる
保管と処分
使用後の携帯トイレは、可燃ゴミとして処分できることが多いです(詳しくは自治体に確認してください)。ただし収集業務が再開される見通しはすぐにはわからないことが予想されます。一時的に自宅で保管する必要があります。保管する方法や場所などを事前に検討しておきます。
また収集の方法が一般の可燃ゴミと異なることが予想されます(いわゆる”パッカー車”ではし尿の収集は行いません)。保管の際は、他の可燃ゴミとは分けるようにします。
大事な補足 携帯トイレの便袋、2種類の被せ方
袋の被せ方には便鉢に被せる方法(写真左)のほかに、便座に被せる方法(写真右)もあります。
不特定多数が使用する避難所などの場合は、便座に被せる
便座に被せる方法のメリットは、肌が便座に直接触れない、ということです。これにより病気などが感染しにくくなります。不特定多数の人が使用する避難所などで携帯トイレを使う場合は、便座の上に被せる方法を選択します。
日常に近いのは便鉢に被せる方法
便鉢に被せる方法のメリットは、便座の感触が普段と変わらない、ということです。できるかぎりいつもの環境に近い方が排泄しやすいことは前述の通りです。腿の裏側にビニル袋が触れることに違和感を感じる方には、便鉢に被せる方法をお勧めします。
また便座に被せる方法のもう一つのメリットとして、袋から漏れ出にくいという安心感があることが挙げられます。
動画を見ながら自宅のトイレでやってみよう!
非常事態はいつ訪れるかわかりません。何はともあれやってみましょう!自宅のトイレですぐに始められます。
用意するもの(1回分)
- 携帯トイレ(便袋と凝固剤のセット) 2個
- ポリ袋(食品保存用) 1枚
- 養生テープ
- ポリ袋(45リットル) 2枚
- 凝固剤 2回分 ※なくても練習できます
「養生テープ」は以下のもので代用可
- セロハンテープ
- ガムテープ
準備(疑似排泄物をつくる)
- 携帯トイレの中身をパッケージから取り出します。
- ポリ袋(食品保存用)に凝固剤を1個入れます。
- 2のポリ袋に水を200㎖注ぎ、凝固させます。袋の口をしっかり縛ります。
練習する
下の動画を見ながらトレーナーのガイドに沿って、練習します。
携帯トイレトレーニング用動画 12分51秒
いいね!みんなにも教えなきゃ!
「これいいね!みんなにも教えたい!」と思ったらチャンスです。ぜひみんなで練習しましょう!地域で会社で学校で、携帯トイレの練習をするのが携帯トイレトレーニングです。
携帯トイレトレーニング体験者の声
- 今までこのような内容の話はなく、とても勉強になった。
- 見るのとやるのとでは大違い。とても役にたった。
- 今日は来た甲斐があった。ありがとう!
- 初めて知ることがたくさんあった。
- トイレの使い方がよく分かった。
- たいへん分かりやすい内容。具体的な内容だったので子どもにもわかりやすかったです。
- (携帯トイレを)持ってはいるものの実際に衛生的にどう使うかは知らなかったのでためになりました。
- (袋を)2重にすることなど細かい説明が災害に役立つ。
- 災害にあった時の事を真剣に考える機会になった。
- すごーく感動しました。